読切
[TOP]
益子焼きの大皿
東北大震災の時に所長のプレゼントの大皿は無残に割れてしまい思い出だけになってしまいました。
所長との出会いは今は無き上野の地下鉄映画館の立ち見でした。
入口のドアを開けると立ち見は相変わらずの超すし詰め状態で中程まで行くのも大変です。しかし座れる席はかなり有るが後ろの立ち見は大混雑、発展映画館の面白い姿です。そんな中に所長はいました。私にはいい感じの親父に写り、静かに近づき、所長の手に触れました、私はまだこちらの世界にデビューしたてのころで、臆病な性格もあり、余り積極的には出られずにいました。所長は直ぐに私の指先をそっと握って来ました。もう、ドキドキでしたが私も握り返しました。すると所長は私の耳元で「お茶でも飲みますか」と囁きました。私は頷き、人混みの中をロビーに出ました。明るい処で見る所長は思ったとうりの本理想の親父でした。背広姿のいい感じの所長でした。
上野の街に出てお茶をする頃は、初めていい感じの親父と出会えた私は有頂天で幸せな気分に成っていました。所長は東北地方のU市から東京での会議に来ている公務員で、出張で来ると地下鉄映画館には必ず寄るようでしたが、会議も終わり今夜は上野駅から帰る電車待ちで映画館に寄ったところでした。
そんな所長と出会った私は、まだ相方も見つけられず上野、浅草、新橋の映画館を覗き歩いていました。
まだ男と泊まった事が有りませんでしたが、この親父となら初泊まりもいいなと考えていました。その事を所長に告げると今夜帰る予定なのに所長も泊まりたいようでホテルに電話をして昨日からの連泊を告げていました。
そうして泊まることになりましたが、まだ初心な私は所長にされるままの状態で胡座をかいて座った所長に抱かれ興奮の極みでした。まだ尺八の経験もテクニックもなく所長の倅を握っている事しか出来ませんでした。
私は所長と出会ったのは40歳前半で年上が好きでしたが、所長は若專のようで新宿二丁目の売り專の店には年に数回覗くようでした。
何も出来ずマグロ状態の私を所長は朝まで優しく抱いて寝てくれましたが。
所長自体は発射したのかどうか今となっては思い出せない程、自分勝手な私でしたので所長は欲求不満な夜ではなかったのではないでしょうか。
それからして交際が始まり、官舎住まいの所長は自宅が空家状態で、家族には自宅のメンテナンスという名目で何度も自宅で会うことになりました。
12/11/29 15:40更新 / 毬栗

TOP | 感想

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35